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2016年11月11日 (金)

北鎌倉の家「茶室」ー谷崎潤一郎とヴィヴァルディ四季ー

〜音楽を演奏するように空間を創造する設計手法〜

その人を観る。 その土地を観る。 すると、

その人の波動が奏でるメロディが鳴り響く。

その音楽から離れないように、家、空間が奏でる音楽を設計する。 その人が生まれ持った、純粋な波動に整うように設計する。

タイルの色、床の触り心地、照明のあて方など

個々のパーツが奏でる音の調和を聴く。

家全体で奏でる協奏曲を聴き、それを図面に落とし込む。

家という空間が奏でる音楽が、

その人の持つ波動を、

最善の状態に保つように、

細部から全体に至るまで、緻密に、作曲するように設計する。

その空間に居るだけで、

身体と心と魂が、

最善の状態に戻ることができるような空間作りが、

私の使命なのです。

_mg_6476 

いよいよ、この家のメインディッシュともいえる「茶室」について。

 

敷地の北側には、この岩があり、荘厳な和音を奏でています。

この地域には鎌倉岩といわれる砂岩の層があちこちで見られます。

「よし!この岩を見せることにしよう。

四季折々のすてきな表情で

客人にほほえみが与えられるでしょう」

そう、お施主さんと決めた時、

共感覚により、茶室空間のメロディが流れ始めました。

_mg_6472 きっぱりとお軸や茶花の存在を消した横長の洞床や

_mg_6461 壁は黒漆喰。といっても真っ黒ではなく濃いめのグレー。

グレーは「あいまい」な波動です。

各人との境界線を引かないというメタファー(隠喩)です。

_mg_6479 さてここで「日本の伝統美」というと、

必ずといってよいほど

谷崎潤一郎氏の「陰影礼賛」が上げられます。

単純に「暗くてじっとりしたところが良い」

とされていますが

私には違和感がありました。

確かに、「陰影礼賛」のみを読むとそう感じ取れます。

しかし、谷崎氏の書いた

小説「細雪」や「猫と庄造とふたりのをんな」など

5、6冊を多角的に読んでみると、

谷崎の考える日本の伝統美は、

「日本女性のもつ妖婉さや恐れ多さのようなものにある」

と言いたかったのではないかと。

立体的に見ると、本質が透けて見えてきますね^^

 

そういった意味においての「陰影礼賛」を

表すメロディは

ヴィヴァルディの「四季」協奏曲第4番 ヘ短調 RV.297「冬」

キリスト教でいうとマリアさま。

ちなみに、清少納言の「冬はつとめて」というくだりも同じ音楽が流れます。

_mg_6326 バロック音楽の特徴である通奏低音技法という

なんとも肚の底にズンズンと響くような

言って見れば宗教音楽のような音楽の構成が

また、感情などの一切のエゴを切り離して

演奏されることを良しとする価値観が

その波動としてあらわれているのでしょう。

つまり、本質のみが演奏されているのです。

_mg_6322 その本質を表す空間は

構造体を美しい意匠として表す木造を活かした空間であること。

設計者が、適材適所に木を厳選し、美しい寸法を与え、

腕の良い職人たちによって組上げられ

施主の手沢(しゅたく)が空間に正気を与えていくのです。

それは永遠であり、三位一体、

そして、魂との対話であるのです。

 

「僕のたくさん管理してきた中で一番好きな現場です」

と担当した現場監督が

引き渡しの時に残していった言葉。

 

3者の対話であるハーモニー。

これが美しく奏でられていたのだな、と。

美しいものづくりは美しい時の経過から生まれるのですね。

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