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2016年10月31日 (月)

北鎌倉の家ーチャイコフスキー くるみ割り人形 第2曲「行進曲」ーその2

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玄関扉をくぐるとそこはワインカーブ(ワインを貯蔵する部屋)
のような暗がりにつつまれます。
 
それは、この曲の繰り返し流れる旋律による期待感を絞り込むため。
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ヨーロッパで使われている石畳の石
珪藻土の壁
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コンクリート打放しの凛とした透明感
これらで構成される奥行きのある空間。
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単調さはパースペクティブ(奥行き)を生み出すのです。
バッハのカノンなどのバロック音楽に繰り返しが多いのは
聞き手に奥行きを感じさせ
神の尊大さを表現しているのであると理解しています。
振り返り、玄関扉を見返すと、自分の歩いて来た軌跡を
たどることができます。
これが、行進というリズムを奏でています。
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ダグラスファーという無垢の厚い板を床材に使っています。
トーンの高い、フルートの軽快なメロディ。
響き渡りますか?
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奥にはアールの壁に沿う、スケルトンの階段があります。
この軽さが、弾むようなタッチの曲想の高揚感を表しています。
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手すりは、おもちゃの兵隊が
滑り台のようにツルリと滑っているイメージです。
 
そして、こんなところに
手洗いがあります。
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洗面器は洗面所だけにあると限りません。
 
私の愛読書のひとつでもある
岡本太郎氏の著書「自分の中に毒を持て」では
岡本氏は、既成概念をぶっとばせ!と語っています。
それは、私の手にかかると
美しく、人をはっと魅了する空間を世に表すこと
と等しくなります。
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階段を登ると、1階の生活ゾーンに出ます。
視線の先にピクチャーウインドウの中にある北鎌倉の緑が
飛び込んできます。
 
この時に、脳内の既成概念が打破され
暗闇の中から、ぱあっと視界が開け、開眼するのです。
意識の上昇です。
 
行進曲は、大勢が何かひとつの目標に向かって、
精神統一させるという力もあると感じています。
ここでは、家族がひとつになる空間です。
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無垢のくすの木で作ったダイニングテーブルを
配置しました。
IHを内蔵し、生活感がでないように配慮しています。
 
なぜなら、この住まいの波動は
「くるみ割り人形」なのであり
それは、ファンタジー空間であるからです。
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そして次に目にとまるのは、こちら
リビングの中央に鎮座するアールの土壁です。
どこまでも、楽しみが繰り返され、続く高揚感。
ユーモアは枯れることを知りません。
行進曲は続くのです。

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2016年10月30日 (日)

北鎌倉の家ーチャイコフスキー くるみ割り人形 第2曲「行進曲」ー

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やはり、まずはこの作品でしょう。
2013年夏に「渡辺篤史の建もの探訪」で放映されました。
地方の建築家展でこの写真を見て、
「あ、これ知っています!」と
仰ってくださる方が多く、とても嬉しく思っています。
 
クライアントとは2008年に出会いました。
 
 
土地探しの時からお付き合いし、
住まいに対する希望やライフスタイル、
趣味や仕事の話など
たくさんの角度から対話をしました。
 
敷地が見つかりましたと連絡をいただいて
この北鎌倉の閑静な一角に立った時に
 
チャイコフスキーの
くるみ割り人形 第2曲「行進曲」
が身体中で響き渡ったのです。
 
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ご主人がアントニオ・ガウディが好きで
和のものが好きな奥さまとの共存。
さらに、岡本太郎さんの鯉のぼりを飾ったり
岡本太郎記念館のように庭にアートをしつらえるのが希望。
 
アタマでのみ考えると、とても難しい。
頭の中だけでイメージする建築では
解答を出そうとしても出ないでしょう。
 
しかし、ここで
勢い良く「くるみ割り人形」が浮かんだ、
ということは具現化できるということだと
確信していました。
 
3次元だけでなく
次元を上げて5次元で
解決するのです。
波動つまり音を取り入れること。
 
おもちゃ箱をひっくり返したような
楽しさのある、あの曲を
北鎌倉という和の文化の中に
どうなじませるか?
 
素材と色、カタチ全てに
混沌と秩序を内包させ
この住まいのどの空間に佇んでも
「ふふふ」と
思わず笑みがこぼれるような
そんな「ユニークさ」のあるリズムと旋律を
どのように空間として表現しようかと。
 
 
まずはイントロダクション。
端切れ良く、高揚感があります。
 
 
住まいのイントロダクションである
正面玄関は
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日本建築のシンボルとも言える入母屋(いりもや)屋根
基壇としているコンクリート打放しのテクスチャー
意匠の要である格子の木製建具
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珪藻土の左官壁
アクセントは鍛冶屋職人が作った鉄のさび仕上げの表札。
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そこに、意志のある白い藤が絡む。
 
丁度、イントロダクションの部分の
これから、「何が起こるのか?」と期待感高まる部分です。
それに加わっているどことない「あどけなさ」は、
白い藤というなめらかな花で
表現しています。
 
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はじめに

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私には「共感覚」という特殊な感覚があるようです。
ちなみに、共感覚とはWikipediaでは
 
 
共感覚(きょうかんかく、シナスタジア、synesthesia, synæsthesia)は、ある刺激に対して通常の感覚だけでなく異なる種類の感覚をも生じさせる一部の人にみられる特殊な知覚現象をいう。 例えば、共感覚を持つ人には文字に色を感じたり、音に色を感じたり、形に味を感じたりする。 英語名 synesthesia は、ギリシア語で共同を意味する接頭辞 syn- と感覚を意味する aesthesis から名づけられた。感性間知覚。
  
実は私は共感覚をすべての人が持ち、
日常で感じているのだと思っていましたが
そうではない、少数派であることを知ったのは6、7年前です。
 
当時は、ふと言葉にしても、真剣に受け止めてくれる人はおらず
単なるスピリチャル系の人か?と。
共感覚もいろいろな種類があり、
波動やオーラも見える(感じる)ことができるので
まあ、そう受け取られても仕方ないことです。
 
しかし、私にとってはオカルトでも、
アッチの世界にいるのでもなく
自分の身体からの信号であるので、現実なのです。
 
そして、この能力を小さい頃から試験勉強や日常での簡単な暗記、
例えば、電話番号や生年月日などを覚えるとなると、
数字は音階があるので、メロディで覚えたりしました。
料理などの味覚はカタチで表れるので、
私にとって、料理することは
建築を設計することだったりします。
 
そして、現在、生業としている建築の設計については
クライアントの意向をヒアリングし、敷地を訪れ、
建築を施す本質的な目的が定まってくると
身体中の細胞からメロディが流れはじめ
それを、3次元の中でX軸、Y軸、Z軸上に数値化させ
設計と現場監理による約1年というスパンで具現化させます。
 
設計、監理をしている間はこのメロディに乗っ取って
意匠(デザイン)も決めていきます。
大きさ、カタチ、素材すべてです。
タイル一枚一枚、左官壁のテクスチャー、家具などまで。
 
少しでもイメージが違うと
それは不協和音となり、すぐにわかります。
例えば、音楽の演奏を聞いていて、
弾き間違えたところがわかったり、
曲想など、自分が持っているイメージと違ったりした時に
感じる、「違和感」のようなもの、です。
 
素材なども、ピッタリのものが見つかるまで
足で歩いて、目で見て、それこそ共感覚で共鳴するものを
選び抜きます。
そうでないと、どこか気持ち悪さがあって仕方ない。
だから、五感のすべてが「ok」を出すまで
とんでもなく、手間ひまかけて作り上げます。
 
最近、こんな感じてポツポツと語り始めましたら
まわりに聞いてくれる人がいることに気づきました。
さらに大変興味深いと言ってくださる方もおられます。
 
時代は変わるものです。
そこで自分の中で
無意識に「あたりまえ」にやっている行程を
言葉に表してみよう、
という気分にやっとなれました。
 
そこでこれから、今まで手がけてきた作品をもとに
どのようにして、この意匠ができたのかを
少しずつお話していきたいと思っています。
 

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