多治見の家

2019/07/04

ライフスタイルの劇的な変化~多治見の家

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リノベーションを行うにあたって
私が重視しているポイントの
3つめは、ライフスタイルの劇的な変化への対処です。


40年くらい前までは、 
台所は北側でお母さん一人で作業する場所。
食事は畳の上のちゃぶ台で。
浴室はモザイクタイルで冬は寒くてお掃除が大変。
電話は一家に1台玄関に黒電話が鎮座する。。。
といった時代。
令和となった今、昭和レトロな話とも言えましょう。

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しかし、今では、
家族皆でお料理して、ダイニングの椅子に座って食べる。
浴室はいつでも暖かいお湯が沸いている。
1人1台スマートフォンを持ち、LINEで会話する。

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大工さんが独りで現場も監督して、
職人をまとめながら
家を建てる。
今までの作り方では、クライアントの期待する家は
到底作れません。
あまりにも多様なライフスタイルとなり
また、住まいの持つ機能は電力を使い複雑になっています。

住宅設備をはじめとし、
多種多様な業者が関わらないと現在の住まいは完成しません。

また、出来上がるまでに、選択肢も無限にあります。
建築確認審査機関の目も厳しくなっています。


さらに、専業主婦という言葉もなくなってしまうほど
共働きのライフスタイルが増えています。
専業主婦のいる家と共働き夫婦の家では
家事動線が違ってくるのは当然。
また、畳の生活から椅子に座る生活になりましたので
昔ながらの間取りでは使いづらいのは周知のとおり。

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そして、寿命が長くなり、
セカンドライフという時間軸ができました。
おおよその人が、自己実現を目指していきている時代。
それをバックアップする機能も必要です。


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しかし、今は忘れられている日本の住まいの良さもあります。
土壁や土間空間、和室や障子などの和の意匠。
日本人のDNAに組み込まれている
京都や鎌倉へなぜか行きたくなる心理。

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その両方を兼ね備えた住まいを作ること。
それには、日本古来の意匠を知り、
現代の生活スタイルに沿ったデザインにしていくことが必要です。
つまり、住まいのイノベーションですね。

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それと、私が最近、切に感じるのは
「女性」が主体の建築をつくることへの面白さ。

女性の時代は底辺からジワジワと押し寄せているようです^^








 

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2019/07/03

デザインの本当の意味~多治見の家リノベーション

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リノベーションを進めるにあたって
大切にしていることの
2つめは断熱です。
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断熱に関してもここ10年ほどで大きく価値観が変わりました。

以前、
日本では、
「家は夏を基準に建てる」とされていました。

ですから、築40年以上経った家は
きちんと断熱されていないものが

ほとんどです。

築50年、60年の古民家では
床板一枚の下は土であることは普通です。

また、このように竹小舞といって
竹で編んだ下地に土を練りつける壁が主流でした。

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しかし、
暑さ寒さが極端になってきている気象状況、
また、花粉やPM2.5などの空気の汚れ
さまざまな事情で

冷暖房を入れる期間が長くなりました。

窓を開けて、風が涼しい、
という時間が極めて少ないのです。

このようなスタイルですと
断熱することで冷暖房の効率を上げる
必要のほうが重要となっています。

断熱で重要なことは
断熱材の密度と厚みをしっかりとること
そして、きちんとした施工。

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多治見の家では断熱材を入れたのはもちろんですが
土間空間を設け、建具で可変できるようにして
夏と冬の住まい方を変えるご提案をしました。

プラン(間取り)での工夫は重要です。
デザインとは、おしゃれにする、
と日本では使われていることが多いのですが
本来の意味は、知恵を出して問題を解決すること、なのです。
これが昨今話題のデザイン思考です。

ですから、
表面だけの意匠を真似て作ったものは
デザインとは言えません。

真の美しさは
そのモノの本質を表した時にだけ
感じられるものなのです。

それがデザインです。

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多治見の家では玄関土間に
竹小舞の土を露出させ
掛け軸に見立て仕上げました。




 

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2019/07/01

建築は人の命を守るもの~多治見の家リノベーション

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リノベーションでは、まず、建物の状態を見るために
現地調査を行います。
基礎や壁に隠れている構造材などの劣化の状態、
また、断熱材の有無や劣化の状態などを調査します。

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図面があれば幸いですが、多くはそのとおりに作られていません。
また、増改築を繰り返している場合も多く、
現地で実測することが大切です。


多治見の家は腕の良い大工さんが作った様子でした。
とても堅牢な構造をしており
この時代では珍しく図面もしっかりと描かれていました。
また、図面の文字が筆で書かれていたのには
何かノスタルジーを感じ、
まるで、当時の設計者と対話をしているようでした。

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さあ、現地調査をしてからいよいよ設計に入ります。

ここで、私がリノベーションを行う際の大きなポイントは3点です。 

1つは構造。

1981年(昭和56年)以前に建築されたものは
建築基準法が大きく改正される
以前の構造基準で建てられているので
特に注意が必要です。

木造在来工法という梁と柱で荷重を支えているものも
現行の建築基準法では耐力壁の壁量や
材どうしのジョイントの仕方も大きく変わっています。

図面では筋交い(斜めに入っている材)がある計画であっても
実際に壊してみると
入っていなかったりすることも多くあります。

ですので、リノベーションを行う際は
解体しながら、設計を繰り返し更新していく作業が続きます。

そして、思わぬ欠陥や腐朽が見つかると
そこでどう対処するかを
現場と相談しながら
経験と知識を元に決定していきます。

建築基準法は大きな地震が起こると
厳しい方向に改正されますので

概ね、柱、梁、壁の補強をします。

さらに、水回りの構造材は
湿気や漏水によるアリの被害が多く
必要であれば、材を取り替えます。

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まずば人の命を守ること、
この手立てが第一優先となります。

人の美しさと健康とは切り離せないように
建築も美しさと安全性は切り離せないのですね。

この世のすべてのものは、必ず
時間とともに変化していきます。
エイジング(劣化)は免れません。
しかし、変化をゆるやかにしていくのは
モノを大切にする、ということにつながることだと
信じています。

次回は2つ目のお話をいたします。

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2019/06/25

主張しない美しさ~多治見の家リノベーション

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岐阜県多治見市。駅周辺から少し離れた住宅街。
2017年7月末にお客様と出会いがあり
2018年6月末に完成したリノベーションです。

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こちらがリノベーション前の外観。
はじめて訪れた際に印象的だったのが
瓦屋根と屋根勾配の美しさです。
ぜひこの部分の意匠を引き立てるような外観にしたくて
立面を考えました。

私の記憶の引き出しには
様々な建築リストがストックされています。
その中でこの時にピン!と降りてきたのが
奈良にある唐招提寺金堂。
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高校生の時、仏教の女学校であったために
修学旅行は奈良、京都のお寺での説法がメインでした。
まあ、当然、かしましく
お友達とワイワイしながらのほうに
気が向いていたのですが、
このお寺を見た瞬間
「かーーーーーつっ!」と
背中を叩かれたように、衝撃を得た建築です。
「美しすぎる…」と。17歳の時。

そして、数年前にも2度ほど訪れましたが
変わらず 
「かーーーーーーつっ!」は受け続けています。
いえ、経験を積めば積むほど
この建築の「すごさ」に叩きのめされるのです。

計算されたプロポーションは
シンプルで美しく、どの角度から見ても美しい。

静かな美しさ
主張しない美しさ

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唐招提寺とは屋根の形状は違いますが
極力外壁面の余分な主張を排除し
また、必要な場所に「抜け」をつくり
表層だけに留まらず
奥行きを深く感じるようにデザインしています。
日本画のように。

主張しない美しさは
日本特有の美学です。


 



 

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