横濱和泉の家

2019/03/18

素材に惚れ込む~横濱和泉の家-3

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先日は現調で伊豆方面に参りましたら、河津桜が美しく咲きほころんでました。
いよいよ春めいて、ワクワクします。

さて、今日は素材について。

 

現在では海外製品や新建材も含めますと数えきれないほどの種類と数があります。

残念ながら流行があるようで、
好んで使っていたものも、廃盤になってしまうことも多々あります。

日本では、均一にできた、無難なものが好まれることが多いようです。

私が好んで使う材料は職人の技量で良し悪しが決まるものが多く
あまり一般的ではありません。

また、クセがある材料。異素材どおしを組み合わせは難しいので、

設計段階での様々な検討はもちろん、職人との協同は不可欠です。

テクスチャーや色、光の当たり方でバランスよくジョイントしなくては美しく仕上がりません。
私も空間を構成するにあたり、ここはかなり気合を入れてイメージし具現化します。
そして、何よりも仕上がりを美しく納めるは、ジョイント部分の納まりを吟味することです。

さて、横濱和泉の家でも、様々な美しい素材を使いました。

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床材はパイン材。表面の仕上げを手の混んだ仕上げにし
時を経ても、キズが多少ついても、それが美しさとなるように工夫された製品。

壁は左官の土壁。

玄関の床材は敷瓦。つるつるのままではなくエイジングしています。
お寺の床はほぼ敷瓦が使用されています。

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法隆寺でも。敷瓦が。

経年変化が美しい素材のひとつです。
ただ、一枚一枚、大きさに微妙な違いや反りがあるので、
出来上がりには、タイル職人の腕の良し悪しが顕著にでます。

この現場の場合、監督の技量もあり
職人は皆、素晴らしい腕前でしたので、仕上がりは見事でした。

また、梁や柱の塗装は、既成品ではない昔から使われている柿渋を使っています。
木の繊維の奥まで浸透するため、エイジングの美しい変化を楽しむことができます。
自然のものは自然のものによく馴染むのでしょう。
お互いの良さが引き立ちます。

もちろん、水回りや摩耗の激しい部分は保護塗料を使います。
色も塗装職人と見本を何枚も作成して色合わせをし、決定します。

素材選びから完成まで、莫大な労力と手間をかけてはじめて、美しい空間が完成します。

現代の均一性を好み、時短や効率化、またAIなどの仕組み化された方向とは全く逆に流れる時間軸の中でしか得られない唯一無二の豊かさ。

素材に惚れ込んでこそ、使いこなせるようになる、生きた材料。
そんな材料に囲まれて暮らせるのは大変豊かなことではないかと。

そんな豊かさをこの世に送り出すのが私の仕事だと思い日々尽力しています。


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2019/03/01

光との共演~横濱和泉の家-2

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清々しい朝に初々しい鳥の声が弥生の始まりを象徴しているかのようです。
おはようございます。

空も春模様になってきて、薄いスカイブルーに仄かな桃色がグラデーションで。
3月ほど「ももいろ」の似合う月はなく---

さて、今日は光について書いてみます。

建築を作る上で最も意識していることは

「光を作ること」

Instagramでは旅先で見た風景を投稿していますが、そこでも大きなテーマは水と光。

光は私自身の芸術活動において最も大きな軸となっています。

光があるからこそ、我々はモノを見ることができます。美しいものや愛しいものを愛でることができるのです。

中世の哲学者トマス・アクィナスは

「美は二つの条件によってつくられる。すなわち一つは部分の調和すなわち比例であり、もうひとつは透明性である」

と語っています。

光とは人間の希望を意味しており、また、現実においても、光あるところに生き物は集まってくる習性があります。

我々がこうして地球に生息しているのも光合成細菌が活動して酸素濃度が適切になり、生物が生存する環境となりました。

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住宅が密集している地域では、なかなか真南の光を取り入れることは難しくなっています。窓と大きく開けても、お隣の窓とバッティングし、結局始終カーテンを締めている状態。街を歩いているとこのような住宅をよく見かけます。これでは残念です。

これらを回避する一つの方法が傾斜地の土地を選ぶことです。傾斜地であれば、一番開放したいゾーンの窓の位置を、最も視界が開けたところにつけることができます。

または、平坦な敷地であれば、トップライトや三方あるいは四方囲まれた光庭をとることも有効です。

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ここで注意したいのが、大きな窓をそこかしこに設けてシースルーのようにしてしまう、このような意匠もつい最近まで流行りであったようですが、これではあまりにあっけらかんとして居心地の良い居住空間は生まれません。

美しい光を取り込むには、影とのバランスが重要です。

特に日本文化では谷崎潤一郎の陰翳礼讃や優れたお茶室が象徴しているように、すべて開放的な室礼は美しいとされていません。

これは単なる表層的な美の形式ではなく、雨の多い日本の風土から自然発生的に認められてきた美しさの定義であると思ってよいでしょう。

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私のデザインする建築は 全ての箇所で光のゆらぎ、強さ、角度などを感覚的に計算して設計しています。バランスの美しい光は、その映り込む素材のテクスチャーや色でいろいろな表情を見せてくれます。

それは、私の感性と光とのフュージョン。

光は365日、24時間、決して同じものがない、そして私の感性もその瞬時のもの。

そう一瞬の偶然が織りなす、クロスオーバーした
作品なのです。

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奈良県明日香村にある石舞台古墳です。つい先日訪れました。
Instagramでは光と水のテーマを巡って旅をし、琴線に触れた場面を切り取った写真をアップしています。

https://www.instagram.com/yukohany/

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2019/02/27

引き算の美学~横濱和泉の家-1

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街を歩いているとどこからか芳しい梅の香が漂ってきて
春がもうそこまで。

ご無沙汰をしておりました。

この数年を振り返ると、
どこか宇宙の果にある道場で修行をしていたような感覚になります。
この2月3日の節分を境に、ようやく元の場所に戻ってきたような…

単純に時系列で忙しい、ということではなく。

日々、自分の世界が激動するようなミッションをこなすため
常に、目の前のことに没頭するしかなく

そしてある時
ふと気がつくと、周りの環境も友人、知人も見事に変わっていました。
浦島太郎のような。


しかし、私の場合

激動の渦の中、淡々と自分を見つめ直した結果
これから最も大切にしていきたいものだけが
今、ここに残った、とでも言いましょうか^^

生き方までも引き算の法則の私くしです^^;
(実際に長かった髪も睡眠時間確保のため
40センチほど切りまして、今やショートボブ)


素晴らしい友人たちの心は
いつでも寄り添ってくれているのがわかりますし
共に成長していく喜びを分かち合い、感謝する。

最近では、日々この繰り返しです。
常にあたたかい気持ちで過ごせます。
すっきりとしてシンプルに生きることができるのは
何よりの財産なのでしょうね。

ということで、今、50代スタート。
人生の折返し地点としては最高のポールポジションとなりました^^


さて、
その丁度、激動の期間に手がけていた住宅が昨年の暮れに完成しました。

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横浜市内にて。
十数年前に手がけた「回の家」をご覧になり、ご依頼を頂きました。


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詫び寂びを好まれ、
美術的なお仕事をされていらっしゃるので、
ご自分達のオリジナリティをとても大切にされていました。

土地探しからのお付き合い。

家族4人で各々が自分らしく過ごす、というライフスタイルです。

「自分らしく生きる」

ついつい流されてしまいがちですが
大切にしていきたいですね。

いろいろな選択肢があって悩まれたときにはいつも
「何が自分や自分の家族らしいか?」と問われていました。

そう、まさに引き算からしか出来ない美学。

「和」の精神。
日本人のための日本人が作る建築
その真髄だと思うのです。

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