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2020/05/29

傾斜地に家を建てるには

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「回の家」
 敷地全体になだらかな高低差があるため、地下を鉄筋コンクリートで作ることで
 コストダウンを図り空間を有効に使っている。


「傾斜地に家を建てたいのですが…」というご相談をよくいただきます。

特に、横浜は丘陵地。坂が多いですね。
だからこそ美しい街並みが育つのですが、果たして建物は建てられるのか、と。

たいらな土地であれば、みなさんもイメージがわくのでしょうが、傾斜地だと難しいですね。
私達建築家でも、たくさんの問題をクリアするために相当にアタマをヒネります。

しかし
デメリットばかりが目立つ傾斜地ですが、メリットもあるのですよ。
最大のメリットは、なんと言っても、眺望の良さを確保できることです。
また、南が開けていれば、陽当りも最高によろしい。

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「横濱和泉の家」
 前面道路より4.5m低い敷地が。
 正面から見ると、屋根の上に玄関ポーチが浮かんでいるよう。
 

例えば、こちらは横浜市郊外の住宅地に建つ「横濱和泉の家」
敷地が、前面道路より4.6m低いのです。上から見下ろすと怖い感じ。
一般的な住宅の高さは5~6mですので、屋根から入るイメージです。
さて、イメージできますか?^^;

 このような敷地の場合、おおよそは鉄骨階段などで玄関までのアプローチを作ります。
しかし、鉄骨階段は本体の住宅に比べると老朽化も早く、塗装などのメンテナンス費用がかかります。

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「横濱和泉の家」
 玄関より1.5m下がったリビングへとアプローチされる。
 2階の屋内をはしる土間空間。通り抜ける風が心地よい。

そこで、ポーチと玄関を道路レベルに配置し、建物に入ってから2階リビングへ1.5m階段で降りる構成とした例です。
家の中でレベル差を解消するのです。
さらに、こちらは小さな屋上への階段も作ることができ、高低差というデメリットをメリットに変えています。

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「横濱和泉の家」
 屋上へ抜ける階段。1階と2階を結ぶ階段と直行方向に上り下りする。
 断面計画が複雑で、子供たちが上がらないように工夫しているので、忍者屋敷のよう。
 

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「横濱和泉の家」
 リビングからの景色。撮影したカメラマン曰く「屋根が枯山水に見える」と^^

玄関からリビングへ見下ろした窓から広がる景色は澄み渡る広い空が広がります。
横浜市内で駅近の住宅街でこの眺望を自分のものにできるのです!
前面の敷地との高低差も3mありますから、隣家が迫っていても圧迫感がありませんね。

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「回の家」
 地下へ続く階段:基礎を深くしたイメージで空間を構成していきます。


また、1枚めの写真の「回の家」も同様に
敷地内で2.5mほどの高低差がありました。
前面道路のほうが高く、小さな小川に向かって低くなります。
通常であれば、土留の擁壁を作って、土を入れてフラットに造成し、その上に2階建てなどを建てる発想となります。

しかし、造成する費用、かなりの高額なのです。
大きさや場所にもよりますが、その上に家を建てるとなると、数百万から2千万くらいまで。大きいですよね。
2m以上の擁壁ですと確認申請も必要となりますし、
大きく切り盛りすると地区地域によっては、開発申請が必要になったりもします。

そこで、基礎の一部分を深くするような発想でRC(鉄筋コンクリート造)地下をつくり、
その上に木造を立ち上げる、混構造という方法で解決した例です。

 
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「北鎌倉の家」
 高低差を利用し、地下にインナーガレージと音楽室、ギャラリーのような玄関を持つ


「北鎌倉の家」も前面道路との高低差が2.5mあります。
基礎の一部を深くするようなイメージでRCで地下を作っています。

RCの壁を利用して藤棚の片持ちのバーを張り出した意匠。
5月のGWにはたわわに咲いた藤棚をくぐって「おかえりなさい」となります。
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地下にあると良い空間もあります。
楽器を使う音楽室などは、コンクリートで囲まれますので、遮音効率は良いでしょう。
また、一年を通して気温、湿度の変化が穏やかであるため、それなりの設備は必要ではありますが、
貯蔵庫や保管庫には向いています。

問題が多岐にわたり、終わりの見えないような傾斜地の建設。
デメリットばかりではなく、多種多様に使える環境を作ることができることが
最大の魅力といえましょう。

建築家には吸い寄せられるような魅力のあるお仕事でもあります^^

しかし、傾斜地の場合、山奥などが多いため、
インフラ(電気・水道・ガス・接道)が整っていないことも多々あり、
建築本体以外で、
思わぬコストがかかることがあります。
また、市街化調整区域の場合は建築が制限されることがあるので、特に注意が必要です。

傾斜地を購入して建築したいけど…不安ばかりで…とお悩みの方
購入前にまずはご相談くださいませ。(土地探しのご相談は無料)
↓こちらのフォームより、お気軽にお問い合わせください。

https://www.arttada.com/contact

参考作品 設計監理:多田建築設計事務所
「回の家」https://www.arttada.com/portfolio/project-title-4
「横濱和泉の家」https://www.arttada.com/portfolio/205
「北鎌倉の家」https://www.arttada.com/portfolio/project1

 

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