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2014/03/02

色は匂へど…

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少しずつ暖かくなっている気配の中、我が家のヒヤシンスも満開に。

春の花の若々しく芳しい香りが部屋に充満しています。

買った時は何色か分からなかったのですが、このように元気いっぱいのピンク色でしたよ。

さて、今日はちょいと志向を変えて読書の話など。

015

ある女性誌を読んでいたところ、村上春樹訳の「恋しくて」という本が紹介されていたので、読んでみることに。

この本は村上さん選りすぐりの海外作家の短編恋愛小説9編と村上さんの書き下ろし「恋するザムザ」1編で構成されています。「恋するザムザ」については元ネタはカフカの「変身」なんだとか。

「変身」については、ストーリーはなんとなく知っていたものの、きちんと読了した記憶がなかったのでこれを機会に読んでみようかと。

読み始めた時間が真夜中だったことも手伝って、かなり印象に残る小説となり。

主人公がある日突然、虫になり、家族から疎外されて死に至る、というストーリー。半ば、星新一を彷彿するような、SFチックな印象も受けましたが、いやはや、虫になった時の気分はかなりリアルに実感することができるほど(なったことはないけれども)巧みな表現です。「楽しそう!虫って!」と思えるかも^^

カフカはつかみどころが難しく、千差万別の解釈があるようで、本人もそれほど深く意図していないのでは?とも受け取れるのだけれども、また、そのあいまいさが「人として生きる」というリアリティとその先の真意をぐぐっとえぐられているようにも。

もし、意図して書いていたら(カフカ29歳)相当な作家だなと。

さて、私はこの小説、人間のもつ「孤独」や「寂しさ」を表現したものだと感じました。虫の姿になっていなくとも、他人に理解されない苦しみや疎外感というものは常だと。例え愛する家族であるといえども。人によって受け取り方や感じ方は違いますから。

読了後もなぜかザワザワとしたものが内臓の奥深くに残ります。それは自分自身の中にある苦しみや悲しみの感情に繋がっているからかな。

そこで、「恋するザムザ」を読む。

この物語を読むと、このザワザワが消えるような気がします。救われる、というのかな。

何に救われるかというと、「誰かを愛することができること」と「言葉で表現することができること」 つまりは「人間であるからこそ得られる幸せ」が描かれているから。

私の場合、「恋するザムザ」から読んだので、「変身」をこのように解釈したのかもしれません…

カフカもそうだけど、このようにつかみどころのないような、理解しにくい小説にこそ、まさに現実の世界が描かれているように感じます。現象学的な見解、さらには禅的なものの見方なのかもしれないけど…

そんなことをつらつらと考えていると、浮かんできた「いろは歌」

色は匂へど散りぬるを

我が世誰ぞ常ならむ

有為の奥山今日越えて

浅き夢見じ酔ひもせず

 

春は秋とは違ったせつなさが……心のどこかにありませんか?

ヒヤシンス 水やりしておもう せつなさを^^

 

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