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2013/10/07

京都・出雲・天橋立の旅 vol.4~包み込む建築・文珠荘~

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ところどころ漂う金木犀の香りが甘く、懐かしい記憶を運んできては物思いにふける…秋ですね。

さて、8月に行った天橋立。今日は一番浅い記憶から思い出して、物思いにふけりながら書き記したいと思います。

夏の旅行3日目。

それまでの記事はこちら↓

京都・出雲・天橋立の旅 vol.3~出雲大社でヤマトタケルに会えたのか~

出雲大社を出発し、米子から鳥取へ。快晴。気温37℃。

鳥取砂丘に向かって走っていましたが、そのほんの2km手前で車に異変が。

10km/h以上の速度がでなくなり、異常ランプ点灯。

すったもんだした結果、夫が故障車の対応をするために残り、息子2人と私は先に次の目的地、天橋立に在来線を使って行く事に。車だと3時間のところ、電車だと4時間。

子供達を引き連れて(ではなく、子供に連れられて。荷物も持ってもらったし^^)のんびり電車の旅に早代わり。本当にのんびりしていて、各駅ごとに10分くらい停車します。その間、乗客は自分でドアを開けて、ジュースやお菓子を買いに行きます。

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いやはや、この旅までは一日丸々休む事もなく、働きづめだったので、神様(そう、きっとヤマトタケルだ!)からのプレゼントなんだなって。4時間、ぼーっと車窓を眺めたり、行きかう人々を観察したり。

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着きました。今年に入ってからなぜか呼ばれているような気がしていた天橋立。

そして宿泊先は、「文珠荘」 吉村順三氏の設計した建築。

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エントランスを入ると、今までの旅の疲れやアクシデントの衝撃、はたまた日頃の喧騒が一気に吹き飛び、

不思議なのですが…まるで、身体と心を着替えたかのように軽くなったのです(きぐるみを脱いだような)第一印象は実家に帰ってきた感じ(何でだろう?)でした。

おそらく、これが吉村マジックだなと。つまり、空間がそっと寄り添ってくれるような。柔らかく、優しい何かになり変わって。

物理的に言うと、この空間の良さは天井の低さ。それによって横の広がりが強調されています。さらに数メートルに渡る式台がその意匠を際立たせていて。天井もアーチになっていて、照明も柔らかく落ち着いています。

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お部屋に通されましたが、そう、廊下もタタミ。だからスリッパがなくて気持ちがいいのです。

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さらにこんな飾りや

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かわいらしい照明

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そしてすてきな坪庭も。

そう、迷路のようなプランとなっているのですが、その曲がり角には必ず目に留まるような仕掛けがあるのです。素晴らしい「アイストップ」たち。

「吉村先生、いいですね~」と言うと

「だって、こうすると、楽しいだろう」と返ってくるだろうな~、な~んてひとりでブツブツ言いながら館内をウロウロ^^;

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お部屋は書院でも数奇屋でもなく、あくまでも吉村順三。

この床花の美しさ。設計者の美意識をしっかりと解しているのをあらわしています。

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部屋からはこの縁に続き、庭へ出る事ができます。

その庭の向こうは、天橋立。

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さて、結局車もすぐには治す事ができないということで、夫もすぐ後の電車で追っかけてくることに。夕食にもなんとか間に合いまして。

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お食事もとても上品なお味。盛り付けがとても美しく、おいしゅうございました。

それで、普通であれば、お風呂に入ってまったり、となりますが、どうにもこうにも落ち着かず、真夜中までひっそりと建物探訪をしてしまいました。寝るのがおしい!と思ったのは、何十年ぶりでありまするか^^;

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再びロビーなどで実測し、吉村建築の極意を、頭と身体に叩き込むのでした。

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朝も早くから目が覚め、ふと見上げると…素晴らしい。朝日の影絵。

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この障子、いわゆる吉村障子の意匠ではありませんが、

このように雪見になっていて、この景色の切り取り方、この位置から見ると水辺だけが切り取られるという良い塩梅。絶妙なプロポーションです。障子の桟、いつも設計に悩むのですが、こういう感性をより一層、鍛えあげなくては!と強く思いました。

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垣間見る

私の好きな景色。この景色と別れ難く、ずっとこの縁側に座っていました。

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おっと、座っていませんでした。

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書院は、足が入るように掘りごたつ形式になっていました。

この障子を開けると、坪庭があります。

 

このように、吉村氏は設計に大変な時間とエネルギーをかけておられました。

「僕は、建築だけではなく、家具や照明器具までやらないと気がすまないから時間がかかるんだよ」と。

 

このような計らいのひとつひとつが合わさって、エントランスで感じた優しく包み込まれるようなものに成し得るのだろうな~。

設計とは人々への心遣いである

と、改めて感じ、これからも優しく、美しい建築を造り続けていこう、と心を新たにした旅となったのでした。

文珠荘に呼ばれた 2013年 夏 

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