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2013/06/17

出会い…松本の木と人と

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梅雨らしいお天気が続いています。そんな中、松本へ。

八王子から「特急あずさ」に乗って。

緑の中に紫や青の紫陽花の花を見つけたり、田植えしたばかりの初々しい

苗の姿を車窓から眺めていると

子供の頃の雨の楽しい思い出がよみがえってきます。

大人になると…

洗濯物が乾かない、とか電車やバスが混む、とかデメリットばかりが浮かんできますが

子供の頃って、もっともっと雨の日が楽しく、自然にとても近くなるような、嬉しいことも多かったような気がしています。雨の日にしか感じられない感覚、それに出会うのが楽しみでした。

例えば、ピアノの響き。雨の日は低音が特にうまく響くような気がして、いつになくピアノを弾いたものです。

緑の色も水をたくさんいただくせいか、発色が違うし、土の香りも落ち着きのあるどっしりとした香りとなります。

な~んて、過去や未来の想いにふけることのできる旅は楽しいものです。

松本へは、住宅の設計をするため、現地調査をしに伺いました。

上高地のふもとにある敷地は近くに梓川が流れ、緑豊かな自然の力を感じる素晴らしい場所でした。

そこに築60年の家屋が立っており、その佇まいは威厳と優しさが入り混じる、つまり歳を経ることでしか得られない美しさを持っていました。

住む人が大切に手入れをしてきたことが伺えます。

さらに今回の特徴は建て主さんの山から切り出してきた木材を使って建築するということです。

すでに切り出されて乾燥させてある材が納屋においてありました。

力強く活き活きとした材、これをどのように活かして使おうか、と帰りの電車では頭の中でぐるぐる、ぐるぐる。

行きのように、過去の憧憬を楽しむどころではありませんでしたが^^;

建て主さんご夫妻がとても素晴らしい方で、何かとでも地に足がついている生き方をされているのがうかがい知れ、私も姿勢を正したのであります。

ふと、昨年夏の長編読書であった「アンナカレーニナ」の中で、トルストイが言いたかったとても大切なことを見事なまでに現実として生きておられる姿を拝見し、

このご夫妻より良き人生のためにも、その器として舞台としてしっかりとした建築を作ろう!と心に誓ったのでした。

「アンナカレーニナ」について、単なる不倫の話だとお考えの方も多くいらっしゃいますが、それはとても断片的な解釈で(もちろんそういう読み方もあるでしょう)私個人的には見栄や偏見で成り立っている社会に対する忠告であると感じています。それは今の私達の世の中と全く違っていないのです。

 

帰りは雨の中、ご夫妻で庭先までお見送りしてくださって、その映像が目に焼きついて感動は続いています。

人を動かすのは感動です。その感動をもたらすものは…決して派手でもなく、大げさでもなく、珍しいものでもなく…それは、とてもシンプルで、日常的で、そしてとても静か なのでした。

美しいものはやはりシンプルですね^^

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