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2011/12/14

ベン・シャーン 神奈川県立近代美術館 葉山

Photo

昨日 葉山一色の家へ もちろん快晴 

富士山の白と相模湾の群青色のコントラストが美しい。

やっぱり海は冬がいい などとバスに大降りに揺られながら

 

内覧をしながら、お客様とお打合せをさせていただきました。

一目瞭然。これ然り。

実物を見ながらのご説明はわかりやすいようです。内覧会をしてくださるお客様にはいつも感謝しております。 

 

さて、待ち合わせの時間より少し早めに到着する習性がある私。昨日は数十分あったので目の前にある神奈川県立近代美術館 葉山のベン・シャーン展に立ち寄りました。

いやはや、久しぶりに面白い展覧会に遭遇しました。企画が良いですね。

  

ベン・シャーンは社会的出来事を写真と胸におさめ、それをモティーフにして絵に昇華させるという手法のアーティストのように感じました。

ただ、描きたいから描くのではなく、何かを伝えるために描く。

 

そしてその伝え方に嫌味がなく、とても素直な表現であるので非常に解りやすいのです。

さらに無駄な線を極力なくし、とてもシンプルに表現しています。

特に私が好きなところは全く肩にチカラが入っていないところ。人に気に入られたいとか良く見せたいとかそんな邪心が全く感じられません。

子供の頃の純真無垢な心のままとでも言いましょうか。

また、その感性はお見事なものです。シンプルになればなるほど、意匠というものは難しいものですが、その見極めるバランス感覚は本当に素晴らしいと思います。

今回の展覧会では、素描や習作も展示してあり、一つの作品が出来上がるまでの過程を少しだけ垣間見ることができます。私にはこの過程の変遷がなによりも興味深く、まじまじと鑑賞してしまいました。

 

こうしてまじまじと彼の作品と対峙しているうちに、あるキーワードが浮かんできました。

「境界線」

自分と他人、個人と社会、自由と束縛、善と悪などを区別するその瞬間です。

 

 

境界線

建築の世界でたとえるならば、図面に引く、一本一本の線のこと。

 

今ではCADでコピーすれば瞬く間にたくさんの線を引くことができますが、十数年前までは一本一本をとても丁寧にエンピツでひいていました。十数種類の線を書き分け、その線が何を意味しているのか、図面を見る全ての人に解るように描かなくてはなりません。

  

 

彼の絵にある境界線はこのエンピツで描かれた図面の中一本の線のように意味深く、大切に描かれているというもの。

それは彼の描く数多くの素描や習作の中からたったひとつのこの線に決めた、という時間と労力と、そしてその瞬間(境界)の潔いエネルギーからその一本の線の持つ意味の多くを読み取ることができます。

 

普段なにげない日々の中にも、実は多くの境界線を引きながら暮らしているものです。そのなにげなくに焦点を当てじっくり観察してみると、いろいろな発見があり人生に深みがででるような気がしています。

これと決めたらあれこれと悩まない。自分の選んだたった一本の線に自信を持つ。でもこの自信はたんなる行き当たりばったりでない、じっくりと見つめて検討に検討を重ねた時だけに備わるような、そんな気もしています。

 

そう、私の学生時代からの課題でもある「境界」そして「結界」

実はここ最近、この奥深さの中で作り上げる意匠を日々手探りで模索しています。一本の線を決めるのに数ミリの違いも見逃すことなく、丁寧に、丁寧に…時間をかけて仕上げています。世の中の効率!やすぐに簡単!とは全く逆行していますが、いいんです。私は私^^ということで。

一本の線が3次元として出来たときに、見る人にそっとほほ笑みを与えるような、そんな意匠を目指して。歳を重ねたからこそこうした設計ができるようになったのかもしれませんね。

だからこの展覧会、よけいに心に響いたのかもしれません。あ~、楽しい一日でした。

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