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2011/11/27

告白

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先日、かつて手がけた住宅の「2年点検」へ。

大きな不具合もなく、無事に終わってお客様の入れてくださったコーヒーでしばし歓談。

「ん~、このお宅のお茶菓子はいつもどれもひとつひとつが絶品だな~」などとノンキなことを考えていた時

いつも忙しい現場監督のAさんがお先に帰られるということでお客様にご挨拶をされた。

 

僕、いままで本当にいろいろな建物を作ってきましたけど、この家が一番好きです」と。

その瞬間、時が止まっていたかもしくはかなりゆっくりとした早さで時間が流れ……

コ・ク・ハ・ク だわ…

私の頭の中はフランツ・リストの「愛の夢」が流れる。

 

いつもは無口でおだやかな物腰。だけど、決していい加減に人に迎合しない、しっかりと自分軸をもった彼の発言は、相手に媚びるというニュアンスが全くなく、とても澄んだ言葉だった。だからよけいに心に響く。

 

若い彼にとって、この現場は決してラクな仕事ではなかったように思う。

 

建築の現場は必ずいくつかの問題が出てくるのだけど、

「僕は身体はあまり強くけど、精神的には強いので大丈夫です」と言い

決してその課題から逃げずに責任を持って丁寧に解決していくのが彼の仕事のやり方。

「現場監督がAさんだから僕はこの仕事引き受けました」という職人もいる。そして見ているとその職人もやはり同じような素晴らしい仕事をする。

 

人間の厚みや深みは年齢で深められていくのではなく、いろいろな出来事をどれだけ真摯に受け止め、前向きにクリアしていくかという姿勢と行動。それを包み込むほどの謙虚さ。

その過程で磨かれていくのだな、と。

そしてやはり人は人で磨かれるのだな、と。

いつもこの強さはどこから来るのかな、と見ていたのだけど、彼は自分のためというよりも人のために生きている人のように感じていた。

そんな彼には随分と学ばせていただいたように思う。

本当の強さは強情や頑固ではない。

我を張らない、しなやかさなんだと。

 

これからもずっとこの建物を見守ってくれるだろう、ととても安らかな気持ちになった。

「好きだ」と告白される建物をこれからも設計していきたい。

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