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2006/04/20

美は一日にしてならず。

「こいさん、頼むわ。ー。」
鏡の中で廊下からうしろへはいって来た妙子を見ると、
自分で襟を塗りかけていた刷毛を渡して、そちらは見ずに、
目の前に映っている長襦袢姿の・・・・

「細雪」の冒頭である。
私が著者である谷崎潤一郎ワールドに惹かれていった最初の本。
セーラー服姿の女学生時代に幾度も読み親しんだ本。
谷崎氏の繊細な感性。特に美意識は素晴らしく面白みがある。

建築の世界では谷崎氏の著書といえば「陰翳礼賛」

かなり住宅でもこだわりがあった様子で自分の自宅でも
いろいろと自分の気に入るように手を加えている。
その悩んでいるところが昔も今も変わらないのかと。
日本文化の良さと利便性の相容れないじれったさ。

特にこだわっていたのが障子紙の美しさと厠のあり方、
そして女性の美しさ。

日本でいう建築の美しさとは
かつての日本女性の美しさと通じるものがある。
弱々しそうで実は底力があり、
清楚でありながら妖艶なところがあり、
従順そうでありながら実は気丈であったような。

また、谷崎氏は大変な美食家でもあったらしい。
すべてのものを「美」という角度から捉える審美眼。
私の「美」に対するスタンスはかなり影響されているだろう。

建築も女性もいつまでも美しくありたい。
それには日々のメンテナンスが大事。
自分の顔や歯を毎日磨くのとおなじように
建築にも同じようにメンテナンスをし、
時には髪型やお化粧を変えるように
インテリアを変えたり、花を添えたりするといい。

お金をかける必要はない。
心を込めて手間をかけてやることが必要。
ほっておくのはかわいそうである。

美は一日にしてならず。

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コメント

祐子さん、こんにちは。
祐子さんのブログには、初めてのカキコミになりますでしょうか。私の大好きな谷崎潤一郎が取り上げられていましたので、黙っていられず思わずコメントしてしまいました(笑)。実はワタシの「美」のバイブルも「陰翳礼賛」なんですよ~~!
それにしても祐子さんって、素敵な文章をお書きになるんですねぇ。流れるような文体と、行間にちりばめられている知性と教養。そして、あたたかなお人柄――あらためて感動させていただきました。
「心」を大切にしながら、日々の暮らしを丁寧に紡いでいきたい――そう心から思わせていただくことができました。女性として、凛と美しくありたいものですね。

投稿: Taeko | 2006/04/21 13:19

taekoさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。Taekoさんも谷崎潤一郎がお好きだとはまたまた共通の話題が出来ましたね!
「陰翳礼賛」の美学はTaekoさんのお写真や素敵な文章にちりばめられていると再認識いたしました。
知性と教養そして凛とした美しさいう言葉。私のかくあるべき女性像の持つ大きな要素であります。少しずつでも理想像に近づくべくよう毎日努力しておりましたが、Taekoさんよりお褒めのお言葉を頂き感激しております。
「心」をこめて日々の暮らしを丁寧に紡ぐ----
素敵な言葉ですね!
ありがとうございます!!!

投稿: 祐子 | 2006/04/22 08:54

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